本郷職業紹介所
Jobcentre Hongo

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作品紹介

私たちは人生の時間の3分の1を、働くことに費やしています。働くということは、人生にとってとても意義深い行為ですが、毎日行っている当たり前のことすぎて、自分の働く意味について改めて考える機会はあまりありません。転職や失業で新たな仕事を探す必要に迫られれば、職業について考える必要がありますが、今度は仕事を探すことに必死になり、立ち止まってゆっくりと考える余裕がない。心の病であると診断されれば、医師やカウンセラーが必要なケアをしてくれますが、働く意味、生きる意味がわからないという病気はなく、頼れる人は限られているものです。今回の作品ではそうした現代人の、心の問題としては重要だがあまりケアされていない「働く意味」について振り返る、もう1つの職業紹介所をオープンしました。

《本郷職業紹介所》の来所者は、アーティストが収集した働く意味についてのインタビュー映像を鑑賞したあと、職員と「面談」を行い自らの働く意味を語ります。その内容はインタビュー映像として記録され、本人が望めば映像の一部として会場で上映され、他の鑑賞者に共有されます。他者の話を聴き、自らも語り記録されるという行為を通じて、働く意味を振り返る。それは昭和初期に職業紹介所として建設されたTOKAS本郷の建物を舞台に現代社会に提示される「職業紹介所」のもう1つの在り方であり、会場における約1ヶ月半の活動自体が作品となっています。

展示期間

2022年2月5日(土)~3月21日(月・祝) 11-19時 ※最終日を除く月曜休館
※アートスペースでの展示は終了しています

面談は上記展示期間の内、木金土日 / 祝日の下記時間に実施
13:30 / 14:00 / 14:30 / 15:00 / 15:30 / 16:00 / 16:30 / 17:00 / 17:30 / 18:00
予約はArtStickerまたは会場に電話: https://artsticker.app/share/events/1056

会場

トーキョーアーツアンドスペース本郷(TOKAS本郷) 2階 スペースB
113-0033 東京都文京区本郷2-4-16
TEL: 03-5689-5331
※本作品はTOKAS ACT Vol.4 の一環として展示されています
※TOKAS本郷の建物は、関東大震災の復興計画の一環として、1928年に東京市が職業紹介所として建設しました。1949年に公共職業補導所となり、長く職業訓練校として使用された後、2001年にアートセンターとして開館しました

料金

無料 ※面談は予約制(鑑賞のみの予約は不要です)

所要時間

鑑賞時間を含めて約60分
日本語のみ

定員

各回1名

作品の体験方法

1. 面談を事前予約してから来場する
予約すると会場で職員との面談を受けられます。予約なしでも2と3の鑑賞は可能です。

2. 展示室で建物の歴史を知る
昭和初期に「本郷職業紹介所」として建設されたTOKAS本郷の建物の歴史や、本作品との関係について知ります。

3. 働く意味のインタビュー映像を鑑賞する
働く意味についてのインタビュー映像を鑑賞します。アーティストが友人知人に「働く意味を聞いてみたいと思う人」を紹介してもらい、初対面の相手にインタビューする形を採っています。また、国勢調査における職業の比率を参考に対象者を人選しています。

4. 職員と面談する
面談予約した来所者は、映像鑑賞をしていると職員に声を掛けられ、別室に移動して面談を行います。面談受付以外の時間帯は、面談室の見学が可能です。

5. 働く意味のインタビュー撮影を行う
撮影機材がセットされた部屋に移動し、鑑賞したインタビュー映像と同じ形式で、来所者のインタビュー撮影を行います。本人が希望すれば作品の一部として会場で共有され、また参加者限定のオンライン版でも共有されます。

養鶏、京都府、40代男性写真養鶏、京都府、40代男性
病院総務、岡山県、20代女性写真病院総務、岡山県、20代女性

インタビューの質問

1.あなたは今、どんな仕事をしていますか?
2.その仕事は、人や社会にとってどんな価値を提供していますか?
3.その仕事をすることは、あなたの人生にとってどんな意味がありますか?

アーティスト

中澤大輔

中澤大輔

人や場所、社会や習慣といった 私たちの日常の背後に潜む、小さな物語に耳を傾け、収集された物語を点と点をつなぐよ うに再構成することで、新たな物語を生み出すアーティスト。2015年ロンドン芸術大学セントマーチンズ校 の修士課程「Narrative Environments」を卒業。彼のバックグラウンドである演劇・建築・文化人類学などの手法を用いることで、人々が参加し体感しながら、オルタナティブなものごとの見方を発見するための体験型作品を展開している。また彼は劇団・ペピン結構設計の創立メンバーとして、高校時代から演劇作品の発表を行ってきたが、劇団活動としても、近年では劇場を飛び出し、街や自然の風景を舞台に、その場所にある人や空間を素材として使った作品発表に注力している。
architectingstories.com

《本郷職業紹介所》の職員

働く意味について耳を傾けて必要なケアをするという職種はまだ確立していませんが、今回の作品には、相談支援や傾聴に携わる専門家、働き方を模索中の人など、今回の職業紹介所の考え方に共鳴するメンバーが参加しています。面談では彼らのうちの誰かが職員となって来所者と1対1で対話し、働く意味を共に振り返り、インタビュー撮影を行います。

矢嶋桃子

矢嶋桃子
ライターとしてインタビュー取材・記事執筆を行うかたわら、困窮・虐待支援の相談員や、虐待をしてしまう親の回復プログラムのファシリテーターをしている。どの仕事でも傾聴と対話の可能性を実感中。

大橋 力

大橋 力
大企業で社内のパワハラ被害を目の当たりにした経験をもとに定年前に独立。現在はパワハラ対策専門の研修講師・カウンセラーとして、パワハラの起きない職場環境づくりのために活動中。

三浦智恵利

三浦智恵利
大学院在籍中に妊娠・出産。バリバリ働きたいと思っていたが新卒採用の仕組みで苦労した悔しさがある。現在は主婦として働くが今後を模索する彼女に、来所者の「働く意味」はどう映るだろうか。

髙多留美

髙多留美
企業勤務、主婦として子育てを経験後、大学院で死生学を学ぶ。現在は死について対話する場「デスカフェ」や「病の語り」について研究中。生死といかに向き合うか、傾聴や対話の可能性を模索している。

豊島晴香

豊島晴香
舞台俳優、映画脚本家。近年では、出演する俳優の話に耳を傾け、その人自身から浮かび上がってくるイメージを元に脚本を書くという作品制作のアプローチに取り組んでいる。

渡部友希子

渡部友希子
企業勤務、海外での子育てを経験後、東京でグリーフケアの資格を取得し大学院修了。現在は周産期の悲嘆に関する傾聴活動や、訪問看護の現場で訪問型の傾聴ケアを行うなどの実践を行っている。

クレジット

企画構成・演出: 中澤大輔
出演: 矢嶋桃子 大橋力 三浦智恵利 髙多留美 豊島晴香 渡部友希子
リサーチ: 岡橋毅
オンライン体験: 介川貴晶 (Penne)
映像撮影サポート: 三上亮
セットデザイン・施工: HIGURE 17-15 cas
記録写真撮影: 加藤健 (画像提供: Tokyo Arts and Space)
協力: 太田草太郎 土師浩子 井川裕覚 工忠照幸 工忠衣里子 里見有祐 大橋磨州 石井裕太 山本尚毅 長澤雪恵

ACT (Artist Contemporary TOKAS) Vol. 4
主催: 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 トーキョーアーツアンドスペース
展覧会コーディネート: 小野洵子 辻真木子 (TOKAS)